普通に生活をしている方にとっては「手すりなんて必要?」と思う場面もあるでしょう。しかし、介護が必要な方にとって手すりは、日常生活を送る上で重要なものとなります。
なぜなら、手すりがあることで安全性や動作の範囲が高まるからです。今回は、手すりを設置するメリットや必要となる場所をご紹介します。
介護用の手すりを設置するメリットとは?
介護が必要ということは足腰が弱っている、自力では動けないなど、日常生活に支障が出ている状態を指します。
そのため、生活をする上で手助けになるものが必要ですが、今回は、手すりをつけることでどのようなメリットがあるかを紹介します。
メリットは3つ
介護が必要になったときに手すりを設置するメリットは、次の3つです。
・歩くときの助けになる
年齢を重ねると誰でも筋力が弱くなったり、関節の可動域が狭くなったりします。さらに、足腰や手足に具合の悪いところが出ると満足な動きができなくなることもあるでしょう。
そうなると、歩いている最中にバランスを崩す、自分の力だけでは歩けないということが起こるかもしれません。そのようなときに助けになるのが、手すりです。
・転倒や転落を防げる
年齢を重ねていくと自分が思っているより足が上がっておらず、敷居などのちょっとした段差につまずくことや何もないところで転ぶことがあります。
平面を歩くときでもリスクがあるのですから、階段など高さがあるところの昇り降りはなおさら危険です。そこで転倒や転落のリスクを少しでも下げる目的として、手すりが必要です。
・動作や作業の助けとなる
若い人ならすぐにできる立ち上がりや起き上がりの動作も、高齢者にとっては簡単なものではありません。そこで必要となるのが補助の道具です。手すりにつかまることで足腰だけでなく、手や腕の力を利用した立ち上がりや起き上がりの動作が可能になります。
介護時に有効な手すりの設置場所とは?
年齢を重ねると介護が必要になったり、動きづらくなったりします。そうなると、手すりがあったほうが安心ですし、動きやすいと感じられるようになるでしょう。
そこで、介護の際に手すりを設置するとよい場所をご紹介します。
廊下・階段
長い廊下を移動する場合、壁伝いに移動するのは心許ないでしょう。そんなときに手すりがついていれば、足腰に大きな負担をかけることなく安全に移動できます。
さらに、階段は危険な場所ですから必ず手すりをつけるようにしましょう。階段には、ストレートな階段、廻り階段などの形状があります。手すりをつける場合は、階段の種類に合わせたものを選ぶことが大切です。
玄関・アプローチ
日本家屋の玄関には、段差のある上がり框(あがりかまち)がつきものです。その段差を少なくするための台を置く以外に、昇り降りを助ける手すりも必要になります。
さらに玄関だけでなく、玄関前の坂道になっているアプローチや階段にも手すりをつけたほうがよいでしょう。
寝室・ベッド
寝室に設置された手すりは、ベッドからの起き上がりや立ち上がりを補助する役割があります。
しかし、ドアや廊下に出るまでの導線に設置する手すりも必要です。なぜなら、立ち上がったときだけでなく、歩いている最中やドア・戸を開け閉めするときにバランスを崩して転ぶ場合があるからです。
椅子やソファの横
ベッドから立ち上がるときと同じように、椅子やソファからの動作にも補助が必要です。若い人にはなんでもない立ち上がりも、高齢者にとっては足腰に負担が掛かる、または支えがないと立ち上がれないなどの状態になります。
座っている状態から自力で立ち上がれるようにしておくことは、日常生活の中でも重要なことです。
浴室・トイレ
お風呂に入るときに心配になるのは、床のお湯やぬるつきから起こる転倒と浴槽に入る際の足を上げる高さ、椅子から立ち上がるときです。この3点を解決するためにも、設置面からはずれにくく滑り止めがついた手すりを選んでつけましょう。
トイレの手すりには、壁設置の固定式と折り畳み式、椅子の肘掛けのように両サイドに手すりがついたものなどがあります。トイレはスペースが限られているため、どれが設置できるか確認するようにしましょう。
快適な介護生活には手すりが必要!
若いころは手すりのことなど考えずに行動していた人も、歳をとったり、親が高齢になったりすると動きづらさが増えていくのを実感するでしょう。それでも「まだ大丈夫」と考えてしまいがちですが、手すりがあることで安全性や行動の幅も広がります。
家族がいても四六時中、ついて回れるとは限りません。そんなときに手すりを設置していれば、本人だけでなく、家族にとっても助けとなります。
「まだ大丈夫」「こんなところには必要ないだろう」という考え方ではなく、動きづらい、転倒などの危険性が高まる前のまだ動ける段階から手すりをつけておき、いざというときにはつかめるという状態を作っておくと良いでしょう。